甲斐 くるみ看護学科4年生

より深く、幅広く、実践的に学ぶ 「訪問看護師コース」

滋賀県からの受託事業である「在宅看護力育成事業(地域医療実践力育成)」では、本学の附属病院と看護学科が協同で新卒でも活躍できる訪問看護師の育成を開始。 2015年度より、訪問看護に興味を持つ学生の思いを後押しするプログラム「訪問看護師コース」を開講し、全国的にも珍しい卒前卒後の一貫した教育プログラムを提供しています。

暮らしの場で働く看護師

滋賀医科大学を選んだのは、「訪問看護師コース」に魅力を感じたことも理由の一つでした。

患者さんにとって病院は通過点であり、退院後は自宅で生活していくことになります。

病棟ではなく、患者さんの暮らしの場で働く訪問看護師という存在を知り、その視点や知識も兼ね備えた看護師になりたいと思い、このコースを履修しました。

 

 

知識の深まりを実感

訪問看護師コースは、3年生の後期から4年生の前期にかけて開講されます。

医療や保健、福祉などの専門家による学内講義をはじめ、学内外での演習や実習もあり、充実したカリキュラムでした。

中でも意欲的に取り組めたのがニプロ医療研修施設での看護実践シミュレーションです。

これは患者さんの住宅環境を模した部屋で、あらかじめ設定された指示や時間に沿って処置を行うという演習です。


この演習に至るまでに、地域医療展開論の講義ではペーパーペイシェントの分析や看護計画の立案に取り組みました。

続いて、ケアを行うために不足している知識を補う講義があったり、自分でケアの手順書をまとめて先生と学生間でディスカッションしたりと、ブラッシュアップの過程を踏んだ後、シミュレーション演習に臨みました。

実践までのプロセスを一つ一つ着実に積み重ねたことで、自分の知識の深まりを実感。

同時に事前準備の大切さと、患者さんの家庭の状況や普段の生活まで見据えて考える視点の重要性を学びました。

 

 

病院と地域をつなぐ連携

このコースならではの特徴の一つが、本学附属病院の退院調整部門での実習でした。

病棟の看護師が必要と判断した場合、退院調整部門の看護師と連携し、訪問入浴サービスの手配や介護保険の申請のサポートなどを行います。


病院には退院後の生活もケアする専門部署があり、それを担うのが看護師であることを初めて知りました。

また、地域包括支援センターやクリニックといった地域医療を支える現場を見学したことで、それぞれの役割や多職種連携について詳しく理解できました。

 

 

現場での緊張感と責任感を体験

訪問看護ステーションの実習では、最後のゴールとして、自分が訪問看護師という設定で患者さんの自宅を訪ね、ケアするという課題がありました。

部屋の様子などをゼロから情報収集して、点滴交換や入浴介助などの手順書も考え、本番に臨みました。

とても緊張して、訪問看護師が現場で直面する責任の重さを身をもって体験しました。

 

訪問看護師コースを修了して

多面的な視点と多様な現場に触れ、たくさんのチャレンジの機会を与えられた濃密なプログラムでした。

やり遂げた今は、達成感と充実感でいっぱいです。目標は「患者さんのことを第一に考える」看護師になること。
ありふれているかもしれませんが、今回の経験を通して改めてこの言葉の重みを噛み締めています。

基本の心がけを忘れず、常に一人ひとりに真摯に向き合う医療者になっていきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2024.3.1

Interviewee

甲斐 くるみ

訪問看護師コース(地域医療実践力育成コース)修了者(看護学科4年生)

Photographer

山崎 純敬

Writer

井上 麻理子